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100
15000記念に100の御題に挑戦します。 毎日更新のはず。 2009/02/15~
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お世話になります
お題
創造する100題 001:冷ややかな 002:棄てられない 003:広がる 004:終わらない 005:綺麗な 006:儚い 007:懐かしの 008:愛しい 009:仄かな 010:腐っていく 011:小さな 012:甘い 013:絡みつく 014:明るい 015:暗い 016:手に入れることの出来ない 017:息苦しい 018:極彩色の 019:鮮やかな 020:苦い 021:遠い 022:近い 023:穏やかな 024:もう戻れない 025:失われた 026:曖昧な 027:傷ついた 028:届くことのない 029:泣けない 030:堕ちていく 031:叶わない 032:辿る 033:消えゆく 034:焼き付けた 035:愛すべき 036:輝かしいほどの 037:子供じみた 038:沈む 039:混じり合う 040:神秘的な 041:赤い 042:黄色の 043:緑の 044:青い 045:真っ白な 046:灰色の 047:紫の 048:銀色の 049:黒い 050:金色の 051:賑やかな 052:繋いだ 053:見慣れた 054:優しい 055:染み付いた 056:貴重な 057:微笑ましい 058:吹き抜ける 059:厄介な 060:舞い散る 061:子供の頃の 062:朽ちた 063:抱きとめた 064:記憶の 065:射抜く 066:久遠の 067:殺めるべき 068:恐れる 069:狂わせる 070:終末の 071:ひとかけらの 072:抱え込んだ 073:封じた 074:微かな 075:些細な 076:気付かない 077:響く 078:突き立てる 079:零れ落ちる 080:最後の 081:可愛い 082:尽きた 083:憎らしい 084:灼熱の 085:守るべき 086:初めての 087:震える 088:残酷な 089:満たされない 090:澱んだ 091:暖かな 092:いつか来る 093:細く途切れそうな 094:この手に余るほどの 095:透明な 096:錆びついた 097:行き場のない 098:薄れてゆく 099:凍れる 100:かりそめの
書いたものから消していきます。
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わたしは、わたしの一族の中では何の芸も持っていない輩なのだよ。

三郎は、私にそう話したことがある。鉢屋の輩は皆、妙な能力を持っているのだと。

そうでなければ、私は変装などする必要がないもの。

言って、私のそばで横になっていた三郎は、自嘲のため息を漏らした。

私は三郎の、僕と同じ、髪を撫でた。

遠くの方で、不如帰が鳴いている。

 

 

 

 

鉢屋って、「へんそう」が得意なのだろう?

すごい、ねえ!

ねぇねぇ、山田先生に化けてよ。

うわぁ、似ている!

けれど、何で伝子さんなんだよ。

不気味だな、

今度は厚木先生がいいなあ。

声も一緒だね。

すごいなあ。

じゃあね、

じゃあ、

 

 

 

 

 

鉢屋って厭味なヤツだよね。

少しばかり成績がいいからって。

でもなあ、あの鉢屋衆だろう。

何されるかたまったまんじゃあねぇなあ。

いいの、いいの。あんなヤツには構わないほうが得策さ。

あんなヤツと同じ場所にいたくないなあ。

そんじゃあ、辞めるか。辞めてしまおう、こんな学校。

あんな友達みたいな顔をして、裏で何をやっているか分からないヤツと友達になんかなりたくねえ。

お前は人なのか。

何時も変装ばかりしているのも、おかしいよね。

よっぽど不細工なんだろうか。

聞いた話によると、いつでも化けられるように頬骨を折り、眉毛も剃って、ありゃあ人の顔じゃあないって話だぜ。

おっかねえ、おっかねえ。




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20090308
三郎

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一日中、立ち仕事をしたあとは、踵が痛む。湯に使っていると、踵にじんじんと鈍い痛みがはしる。きり丸は、どくんどくんと芯の臓が鳴るたびに走る痛みを堪えた。学校が休みであることをいいことに、バイトを一日中、数日間入れた結果が、これだった。骨の中が痛いというのか、骨自体が痛いというのか。アルバイトをしすぎだ、と伊助も乱太郎も言う。だが、金は天下の廻りものである。稼げるときに稼いでおかなきゃ、怪我だ病だ焼き討ちだと何か予想すらしないことに遭い、にっちもさっちもなくなって、「金が無い」と嘆いても何にも始まらない。米も大事だが、これからは金さえあればどうにかなる。宋銭ほど、俺にとって大事なものは無い。俺が働いた分だけ、金は増えていく。「金は俺を裏切らない」きり丸は、にがにがしく独り呟いた。

 
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上級 きり丸

20090307

三年ほど里には帰っていない。家に帰りたくなかったからだ。家に帰れば、畑仕事だのまき割りだのを手伝いをさせられるのは目に見えている。これらの作業は面倒だし、季の息子の私など、しばらく家に帰らなくても誰も心を痛めまいと思うと、帰り支度をして数日かけて帰宅するのが面倒なことに思えた。学校にずっといるからということがわかると、同級生をはじめ、先輩に加え後輩までもいろいろと、普段は頼み難いことでもひそかに頼ってきた。そのお陰で色々なことが出来る器用さを身につけたのは最大の偶然だ。そんなことばかりしていたからだろうか、心優しい友人が今年こそは里に帰れと促されて帰宅した時、母親の姿が判らなかった。三年前より皺が深くなった顔、土で汚れた爪、痩せて曲がった背中。母親の記憶が、わたしの中で錆び付いていた。

‐‐‐

留三郎
090227

私は何時も見下ろしている。そのことに気づいたのは何時からだったろう。春一番が来る日には、子ども等は私がつけた花が散るのを嘆き、秋には葉が散ることを愛(お)しんだ。いつのまにか、子ども等は背丈が伸び何時からか此処には来なくなった。静かに時を喰らう私は、何時も彼らの声を聴き、風に身を任せている。

この木は未だ立っていたか、という声を聴いてはっと見遣れば、そこには小さいころの面影がかけらもない輩が立っていた。
はてと頭(こうべ)を廻らした。だが、記憶に無い。私は誰だか思い出せないことを悲しんだ。
輩が私の痩躯に触れた。そこは、昔傷つけられて腐ってしまった場所だった。
私ははっと思い出した。嗚、彼か。彼だったか!

今年も花を点けてくれよ、と言い残し彼は去った。再度、春は巡ってきたのだ。



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20090221
 

乱太郎は微かな水音が聞こえた心持ちがして、目を覚ました。耳を澄ましたが、何も聞こえない。しんべェは隣で涎を垂らして熟睡している。その隣の布団はもぬけの殻だ。月灯が格子から差し込み、部屋を照らしている。乱太郎は胸騒ぎを覚えて、身体を起こした。春、とはいえ夜分は冷える。乱太郎は羽織りと手ぬぐいを手に部屋から出た。月が煌々と縁側を照らしている。

長屋からやや離れた、医務室近くの井戸で、乱太郎は予想通りの人物を認めた。後ろ姿を見ただけで、軟派な男は声をかけるだろう。乱太郎が声をかける前に彼の影は振り返り、か細く乱太郎の名前を呼んだ。

乱太郎はため息をつくと今から医務室を開けるからと、きり丸に言った。きり丸の顔には胡粉でも隠しきれない疲労の後が見て取れる。

毎晩何をしていたんだと問い詰める前に休息を与えなければ。湯を沸かして、身体を拭けと。そう言わなければ、彼の麗人は神経の絃が切れてしまいそうだ。


‐‐‐
五年 は組
乱太郎 きり丸
これは偶発的な道なのだろうか。
君に声をかけたくて、僕が君に近寄ろうとするのは。

僕らは隣を歩いているだけが許された存在というだけで、君の名を呼んではならないのだろうか。



人と話すのは総じて面倒だ。用件さえ伝えて差し障りがないのであれば、それでいい。媚び諛う大人は山ほど見てきた。交わることは、浅ましい。機嫌をとるくらいなら、いっそ関わらない方がいい。だから僕は僕の周りに壁を築く。誰にも僕の領分を侵させやしない。



昨日も一昨日も挨拶をしたが、全く話しをしてくれない。僕は嫌われてしまったか。だが僕は彼と話しがしたい。



何故僕に構う。何故僕を誘う。何故僕の名前を呼ぶ。僕は揺れる。真摯な目に騙されるな。かりそめの学友など必要ない。


___

一年 小平太と長次
20090215
100題!
100って室町辺りから100という数が出始めて、
百題和歌、漢詩、連句が出来てきたらしいです。
句題和歌とかも。何故「百」なのかは分からないそうですが。
個人的には、奇数が好きです!(誰も聞いてない!
逆から攻めていこうと思いますが、そこは適当に!

ということで、挑戦させていただきます。
お題は、追憶の苑さんにお借りしました。
  
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