15000記念に100の御題に挑戦します。
毎日更新のはず。
2009/02/15~
暦
お題
創造する100題
001:冷ややかな
002:棄てられない
003:広がる
書いたものから消していきます。
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乱太郎は微かな水音が聞こえた心持ちがして、目を覚ました。耳を澄ましたが、何も聞こえない。しんべェは隣で涎を垂らして熟睡している。その隣の布団はもぬけの殻だ。月灯が格子から差し込み、部屋を照らしている。乱太郎は胸騒ぎを覚えて、身体を起こした。春、とはいえ夜分は冷える。乱太郎は羽織りと手ぬぐいを手に部屋から出た。月が煌々と縁側を照らしている。
長屋からやや離れた、医務室近くの井戸で、乱太郎は予想通りの人物を認めた。後ろ姿を見ただけで、軟派な男は声をかけるだろう。乱太郎が声をかける前に彼の影は振り返り、か細く乱太郎の名前を呼んだ。 乱太郎はため息をつくと今から医務室を開けるからと、きり丸に言った。きり丸の顔には胡粉でも隠しきれない疲労の後が見て取れる。 毎晩何をしていたんだと問い詰める前に休息を与えなければ。湯を沸かして、身体を拭けと。そう言わなければ、彼の麗人は神経の絃が切れてしまいそうだ。 ‐‐‐ 五年 は組 乱太郎 きり丸 PR |